Tag: Politics

諜報機関と研究者

「外人」に「日本にはNINJAはいないのか?」と聞かれたら、「CIAとかKGBとかモサドとか世界の国々は諜報機関を持っているだろう。でも日本の諜報機関の名前を聞いたことがあるか? ないだろう? つまり、そういうことだ。」と答える、という冗談があるが、これは本当の諜報機関と研究者の話。 1950〜70年代に活躍したインドネシア政治研究者にガイ・J・ポーカー(ないしパウカー、Guy J. Pauker)がいる。彼は、RAND Corperation というシンクタンクに属していたのだが、このランドのコンサルタント顧客の筆頭がCIAだという話である。 アレックス・アベラ(牧野洋訳)『ランド〜世界を支配した研究所』文春文庫、2011年。[ISBN: 978-4-16-765174-9] この本のことは恥かしながら一昨昨日に知った。某研究会のあと、Y氏に教えていただいた。 50〜60年代にポーカーが、インドネシア側、とりわけインドネシア国軍、(社会党系)知識人とどのような関わりを持ったのか、そしてCIAや米政府にどのように影響を与えたのか、というのは実に興味深い。キッシンジャーとも大学時代からの友達らしく、ツーカーの仲だったという。

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友人に買ってきてもらった本

インドネシアから来日した友人に買ってきてもらった本。 H. Aboebakar. Sedjarah Hidup K. H. A. Wahid Hasjm. Bandung: Mizan, 2011. [ISBN: 978-979-433-621-2] インドネシアの第四代大統領アブドゥルラフマン・ワヒッドの父親で、インドネシア共和国の初代宗教相の伝記。もともとは1957年に発行された本で、そのコピーは持っているのだが、確か落丁があったはずなので買ってきてもらった。

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ここ数日の間に届いた本(PKI関係)

1965年9月30日事件に関する研究二冊。 まず先程amazon.comより届いた本。 Wijaya Herlambang. Cultural Violence: Its Practice and Challenge in Indonesia. Saarbrücken: VDM Verlag Dr. Müller GmnH & Co. KG, 2011. [ISBN: 978-3-639-37715-6] 9月30日事件とインドネシア共産党(PKI)に対する評価が、文化的なチャンネルを通じていかに固定されていったか。著者が今年の初頭にクィーンズランド大学に提出した博士論文の書籍化(速っ)。著者とはまだ直接会ったことはないけれども、同じ人物にインタビューした関係でネット上で知りあった。昔ではあり得ない関係か。 Saskia Wieringa. Sexual Politics in Indonesia. New York: Palgrave Macmillan, 2002. [ISBN: 0-333-98718-7] インドネシアの女性運動、とりわけ共産党傘下のGerwaniについての研究。以前、イギリスの書店に注文したら品切れと言われたのだが、円高だからと調べてみたらあったので、amazon.caから取り寄せた。著者は”Lubang Buaya”なんて小説(!)も書いている。

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Opera Tan Malaka

Tony PrabowoとGoenawan Mohamadの手による『オペラ:タン・マラカ』は既に昨年10月に初演を終えている。このオペラのTV録画放送が東ジャワのマランとクディリで放送禁止になったという話だ(本日付のKoran Tempo)。当局がその番組が「左」臭く、社会に不穏を引き起こしうると判断した模様。 スハルト体制32年で染み付いたものはなかなか拭い去れない。しかし、法的根拠はあるのだろうか。

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最近買った本

そういえば最近買った本のメモを忘れていた。 Arnold C. Brackman. The Communist Collapse in Indonesia. Singapore: Asia Pacific Press, 1970. [ISBN: n.a.] Arnold C. Brackman. Indonesian Communism: A History. New York: Frederick A Praeger, 1963. [ISBN: n.a.] Malcolm Caldwell (ed.). Ten Years’ Military Terror in Indonesia. Nottingham: Spokesman Books, 1975. [ISBN: n.a.] デヴィ・スカルノ 『デヴィ・スカルノデヴィ・スカルノ自伝』文藝春秋, 1978。[ISBN: n.a.] デヴィ・スカルノ 『デヴィ・スカルノ回想録―栄光、無念、悔恨』草思社, 2010。[ISBN: 978-4-7942-1754-7] 最後の二冊はほとんど趣味だな。上の三つは自炊するか…?

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Dalih Pembunuhan Massa Gerakan 30 September dan Kudeta Soeharto

昨年末のエントリ(発禁)で書いたように、John Roosa著 Pretext for Mass Murder: The September 30th Movement and Suharto’s Coup d’Etat in Indonesia のインドネシア語版が発禁になっている。今更ながら気付いたのだが、これに対して著者は自らのブログでインドネシア語版 Dalih Pembunuhan Massal: Gerakan 30 September dan Kudeta Suharto をPDFで配布している。 PDFファイルが手に入るのは個人的には嬉しいのだけれど、事情が事情だけに全く喜べない。

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また発禁→パプア関係

インドネシアでパプア関係の書籍三冊が発禁になった。共産党なんて「昔」の話よりもずっと経済的・政治的利害の大きな問題だから、政府が過敏になるのは理解できるが、発禁というのはもはや逆効果なのではないかなぁ。しかも分離主義を煽っているという理由もどうかと思う。 そういえば、あれだけ話題になった反ポルノ法に基いたポルノ関係の発禁て耳にしないな。「四畳半襖の下張」みたいなケース。

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