Hassan Tiro

アチェ独立運動(GAM)の一指導者だったハッサン・ティロが先週亡くなっていた。友人がアチェの研究をしていることもあり、多少なりともアチェの分離独立運動のことを知っているので、また一つの時代が終わった感がある。

アチェの分離独立運動は、2004年末のスマトラ沖地震とそれによる津波でアチェが甚大なる被害を受け、それを機に独立云々より人々の生活の立て直しが第一として終息した。だからと言って、アチェ独立運動とインドネシア(国軍)の戦闘(あるいは後者の掃討作戦)で多くの命が奪われ、生き残った人々に心の傷が残っていることを、とりわけインドネシア政府、インドネシア社会は忘れてはならない。

アチェ独立運動しかり、東ティモール植民地化しかり、1965年9月30日事件とその後の大虐殺しかり、パプア問題もしかり、である。書籍の発禁によって、なかったことにできる問題ではない。