リテラシー(IT, 警察, 図書館 2)

なんだかネット上では祭りの様相を呈してきている岡崎市立図書館の事件。朝日新聞の新しい記事によると、図書館長は「(男性の自作プログラムに)違法性がないことは知っていたが、図書館に了解を求めることなく、繰り返しアクセスしたことが問題だ」とか「図書館側のソフトに不具合はなく、図書館側に責任はない」と宣わったらしい。

そのこと自体頓珍漢ではあるものの、個人的には言わば想定内だった。しかし、この件が示しているのは、今後のソフトウェア開発の足枷になるという一次的には開発者にとっての問題以外に、ある程度のコンピュータ、ネットワーク、あるいはITに関するリテラシーがない、あるいはそのリテラシーが欠如していればそれを補う方策を持っていないと極めて面倒なこと、恥かしいこと、危険なことになるということだろう。

愛知県警や検察は(当事者が認識しているかどうか怪しいが)適切な知識に基いて適切な手順を踏んだ捜査をしなかった・できなかったことで、大いに恥をかいた。あまつさえ、20日も勾留した面子のためだろう、不起訴ではなく起訴猶予という処分にした。赤っ恥というしかない。自社製(かどうかも、既に怪しくなってきているが)ソフトウェアの不具合を認識しつつ放置した三菱電機インフォメーションシステムズは確信犯だが、その三菱電機インフォメーションシステムズの持ってきたソフトウェアを然るべき条件で検証しない・できないまま導入し、システムの不具合が起きたときに何が問題なのか判断できずに(愛知県警に勧められるまま)被害届を出し、すでに何が問題なのか明確になってからも(それを知ってか知らずか、理解してか理解できずにか)当方に問題ないという市立図書館側は、やはり自分の無能を曝け出したわけだ。もちろん図書館が技官を雇えるだけの予算はないだろうけど、しかし第三者を使うことはできる。予算がなければ不具合があったときの対処を罰則も含めて契約書に入れれば良かろう。結局、自分の業務をコントロールする能力が欠如していたのだ。

個人的にも、バカぢゃねぇのって値段で買った糞システムに付き合わざるを得なかった経験もあるが、受注者がもってきたシステムを発注者がきちんと評価できないと、(税)金の無駄ということでなく、セキュリティ上の問題を抱えることにもなるし、周囲にも迷惑である。今回、逮捕勾留、起訴猶予になった男性なんて迷惑なんてレベルではない。それに、この問題だって、抉れまくれって、図書館、市、あるいは三菱電機インフォメーションシステムズ、警察、検察の責任者が詰め腹切らされるべきだろう(が、ならないだろう)。

何も人類すべてがコンピューターサイエンスを身に付けなければならないなんて話ではなく、公的機能を持った機関がそうした技術を利用したサービスを提供する場合は、業者に丸投げするのではなく(あぁ、その業者も中抜きしてから下請けに丸投げするんだ)、技官を雇うなり、専門家の助言を求めるなりしないといけない、ということだ。(あれ、三菱電機インフォメーションシステムズはネットワークソリューションが専門ではなかったか?いや、多分、何か違う分野が専門なのだろう。)